「酒は百薬の長」と言うことわざがあり、昔から適量の酒はどんな良薬よりも効果があると言われてきました
適量のお酒はLDLコレステロールの増加を抑え、善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させ、動脈硬化の予防に繋がったり、赤ワインなどに含まれるポリフェノールの働きが心筋梗塞の予防に役立つといった報告も上がっています。
しかし、最近の研究では「少量でもお酒は体には良くない」といわれる事が増え、最近では2018年8月、医学雑誌にアルコールと健康の関係性について信頼性の高い論文も発表されています。
全文英語ですが、WEB上に公開されているので、ブラウザの翻訳機能を使って頂く事でその内容を確認して頂けるかとおもいます
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31310-2/fulltext
ここでは様々なデータが集められ分析されているのですが、飲酒は様々な疾患の原因となる可能性が高く実質的に健康損失を引き起こすという事が書かれています。
恐るべき研究結果とその内容
この研究結果によると、飲酒が原因による死亡のリスクで最も高いのは癌であり、摂取量の増加とともにその数値は上昇し、癌を発生させないために最小限に抑えるアルコール摂取量はゼロだそうです。
飲酒は世界中で見ても様々な疾患において体に与えるリスクが高く、15〜49歳の人口の世界的な死亡のほぼ10%を占めているそうです
つまり安全なレベルの飲酒は存在していない事を示しています。
今までは少量の飲酒は健康上の利点があるとされていた事とは全く逆の研究結果となっています
飲酒は健康を害し寿命全体にわたってその影響を与えているという事なのです。
アルコールは少量であれば動脈硬化によって起こる病気(脳梗塞や心筋梗塞)のリスクを下げるというデータはあるものの、人類最大の敵であるがんに関しては少量でもリスクを高めてしまうというこのようですね。
アルコールは除菌スプレーや注射前の殺菌などでも使うように、成分を変性させる強い性質をもっており、体内では代謝負担も増す事から実際にクリニックでは薬やサプリメントなどの内服時の飲酒は避けるように指導しています。
自分で判断するしかない
お酒を飲みながら友人達と語り合い、ストレスも解消し心が豊かになる事で生活の質が向上したり、良い人間関係を気づけるという人も多くいると思います。
お酒やその空間が好きで楽しんでいる人が一滴も飲めなくなる事の方が大きなストレスになる場合もあるので、お酒が好きな人は自分が抱えるリスクをよく考え総合的に判断をするしかないのでしょう。
ただし、常に病気におびえながら生きていく事などは現実的にはなかなか出来ませんので、近親者で癌になってしまった人がいたり遺伝的にがんのリスクの高い人は、アルコールの摂取量を最低限(1日に1杯~2杯程度)に抑えることをおすすめしています。