気になる最新ダイエット理論と医学的アプローチ

運動、食事管理、サプリメント・・・。

様々なダイエット方が世界中で行われ、新たな手法が日々検証されています

一般的には健康的な体と作るという視点で見ると当然バランスが大事なので「低脂質、低糖質、低カロリーの食事」や「適度な運動」が中心の対策方法だと思います

そのような中、最近販売され注目を浴びている書籍の中に、大変興味深い内容が記載されていたので紹介したいと思います

その著者である医師は「世の中に痩せる方法については多くの提言があるのに、太る原因とその理由を明確にしている情報が少ない」と考え、そもそもの肥満の根本的な原因を探り、それを改善しよう書かれたのが本書になります

なかなか面白い視点で書かれているのですが、大変参考になる事が沢山記載されていたのでここで紹介したいと思います

この書籍書かれている最も重要なキーワードは膵臓から分泌されているホルモン「インスリン」です

インスリンの役割

全身の細胞が血液中のブドウ糖(血糖)を取り込みエネルギーとして利用する際にインスリンが必要とされます。

このインスリンの作用が不足すると血糖は細胞内に取り込まれず、そのけ結果高血糖などになり糖尿病を発症したりします。

このようにインスリンは人間にとって非常に大切なホルモンです。

その主な働きを説明すると

①全身のほぼすべての臓器細胞にブドウ糖をとり込ませる
②肝臓や筋肉でブドウ糖からグリコーゲン(貯蔵糖)が合成されるのを促進する
③貯蔵されているグリコーゲン(エネルギー代謝に必要な物質)が分解されるのを抑制する
④脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制する

となります

この書籍はで肥満の原因はこのインスリンであり、この分泌をコントロールすることが大切と記載されています

本書を簡単にまとめると

■肥満のおよそ70%が遺伝

■肥満と摂取カロリーに相関関係はなく、肥満と運動量同様。

■食べ物を食べるとインスリンが分泌され糖や脂肪の貯蔵が促される。逆に何も食べないときには、インスリンの分泌量は減り糖や体脂肪が燃やされる。

■肥満を防ぐには食事を摂らない時間を長くしてインスリンの分泌を妨げることが重要。つまりファスティングが有効

インスリンの分泌を抑えるために大切な事は、精製された穀物や砂糖の摂取を控えることだそうです

3大栄養素にも良い取り方がある?

また、本書には太らない3大栄養素の取り方も記載されていました。

■炭水化物・・・減らす
加工品(精製されたもの)は減らす
天然の炭水化物(野菜)などは摂ってOK
キヌア、チアシード、豆類など「食物繊維を含む炭水化物」はお勧め

■タンパク質・・・減らす
食物摂取量全体の20%~30%に抑える
食事代わりになる「代替品」に手を出さない

■脂質・・・増やす
「天然の脂肪」が含まれた食品を多く摂る
(ヴァージンオリーブ油、ナッツ、乳製品、アボカドなど)
動物性油脂も恐れる必要は無い

このように食事のコントロールをする事が最も大切なことなので、是非参考にしてみて下さい。

体重の設定値

また、本書の中では肥満を決める「設定値」の存在をあきらかにしています

著者は体重や肥満には「設定値」があると考えており、あらかじめ設定された体重から大きく変わることのないように、体重が増えたり減ったりしているという事だそうです。

体重の設定値がおよそ90キロだとすると、カロリーを制限して81キロになったとしても体は失った分の体重を取り戻そうとして食欲を増進させる。そして、やがて体重は90キロに戻ってゆく。

これがリバウンドに該当する現象だと思います。

肥満の原因はホルモンバランスが崩れることでこの体重の設定値が高くなり過ぎることであり、これにはインスリン値の増加が関わっていると本書では説いています。

食事制限や筋トレ運動だけではなく、体重の設定値を正常に戻してあげることが最も重要な事だそうです

実際の医療現場では?

最近のダイエット外来などでは、このようにホルモンに働きかける治療を行う事が増えて来ています。

もともと2型糖尿病の治療で投薬している薬などをダイエット外来で処方し体重のコントロールをする方法です。

最近ではグルカゴンペプチド-1(GLP-1)の受容体作動薬を注射やペン型注入器、オートインジェクターを使って投薬したり、GLP-1の分解酵素であるジペプチジル・ペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害することによって血糖値上昇抑制作用を発揮するDPP-4阻害薬を処方するなどしてダイエットに取り組む専門クリニックなども多く見られます。

これらの治療方法はただ血糖値を下げるだけというものではなく、食事によるインクレチンが分泌されたときのみインスリンの分泌を促すため、低血糖症状になりにくく食事前時の空腹感症状が起きにくいとされています。

またSGLT2阻害薬と言われるお薬を処方する場合もあります。

この薬は腎臓(近位尿細管)でブドウ糖の再吸収にかかわっているタンパク質(SGLT-2)を阻害し、ブドウ糖の再吸収を抑制することで、血液中の過剰なブドウ糖を尿中に排出させます。体重低下が期待され、インスリンとは独立した作用を示すため、単独使用では低血糖をきたす可能性が低いのが特徴です。

さらにはα-グルコシダーゼ阻害薬と言われるお薬を処方する場合もあります

この薬は小腸粘膜に存在する糖質(でんぷん、麦芽糖、砂糖など)を分解する消化酵素であるα-グルコシダーゼの働きを抑えることで、糖質の消化・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖の上昇を抑制します。

最近ではトレーニングや食事制限をするだけではなく医学的なアプローチで行うダイエットも増えて来ているため、運動や食事制限が厳しいという人はかか付けの医師や、ダイエットの専門外来などで相談をしてみてはいかがでしょうか。

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